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藤村幸司
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舞台は楽し~いい芝居とは?
2007-05-20 Sun 20:18
洋画を観ていて、字幕が白い背景と重なったために読めないことがあります。「少々見えなくても大丈夫」という人もいますが、私は少しでも「見逃した」と思うと、気になって、いっぺんに集中できなくなってしまうタイプです。

それと同じで、セリフで何を言っているかわからない芝居ほど、イライラするものはありません。私にとって、いい芝居の最低条件は、「セリフが聞き取れること」です。

至極当り前のことのようですが、世の中には何を言っているかわからない芝居の多いことか。勢いテンポこそが芝居の命だと意味をはき違え、早口でがなるだけの芝居。好みはあるにせよ、これでは観客は、役者のセリフにばかり気を取られて、ストーリーに入り込めず、観れば観るほどストレスがたまっていきます。

劇団四季の浅利慶太・芸術総監督は、会報誌『ラ・アルプ』(2003年3月)の中で、以下のように述べています。

「舞台の感動は、85%台本の良し悪しで決まります。二流の本はいくら一流の芸術家たちが集まってもいい作品にはならない。そして俳優の第一の仕事は台本の言葉を一音たりとも落とさずお客様に聞かせることです。」

その考えから生まれたのが劇団四季独特の発声“母音法”。セリフの母音を意識して明瞭に出すことで、一音一音を際立たせようというものです。たとえば「おはようございます」を「おあおおおあいあう」と母音だけで発音して、この一つ一つの母音が等間隔に並ぶように声が出せたら、子音を入れてみるという訓練をするのです。

今、劇団四季では、『美しい日本語の話し方教室』として、俳優たちが各地の小学校に出向いて、この“母音法”を教えているそうです。これまで学校の国語は、どうしても読み書きが中心になりがちでしたが、この取り組みは、しゃべることを生業としている私としても、素晴らしいと思います。

一方で、劇団四季の発声法は、揶揄の対象として、『四季節』と言われることがあります。セリフに心がこもっていないだとか、一本調子だとか、わざとらしいと批判されます。たしかに、幕が上がってしばらくは耳が慣れないのか、違和感が残ることもあれば、若い俳優さんたちは、その発声にばかりに気を取られているように感じることがあります。しかし、ベテランたちの発声は、違和感なく明瞭であることは間違いありません。修練を積めば、ここまで声が通るようになるといういいお手本です。

私たちアナウンサーも、放送で話すときと、ホールなど広い屋内で話すとき、屋外のとき、またマイクやスピーカーの条件によって、発声は違います。芝居は劇場という空間で演じられるものです。客席の構造や劇場の大きさ、建物自体の立地、音響設備などで、声の響き方は当然、違ってくるでしょう。それだけに、発声は難しく重要です。いくら情緒たっぷり、感情たっぷりにセリフを発しても、聞こえなければ意味がないのですから。

中国語で、芝居を観ることを「聴戯(ティン シー)」と言うそうです。芝居を観るのではなく聴くと書くのですが、そんな聴かせる芝居に出会えると、この上ない幸せを感じます。
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