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藤村幸司
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ヨロンかセロンか?
2007-06-04 Mon 13:38
各新聞社、テレビ局、通信社が行った世論調査によると、安倍内閣の支持率が急降下、発足以来の最低を記録したそうです。言うまでもなく、社会保険庁の『消えた年金記録』や、『政治とカネ』で追及された松岡前農水大臣の自殺が影響しているのは間違いありません。

このニュース、テレビでは「ヨロン調査」と読んでいますが、私が高校時代の年配の先生は「セロン調査」と言っていました。また当時、国語の先生に聞いたところ「どっちでもいい、同じ意味」との答えでした。実は、この「ヨロン」か「セロン」かについては、たびたび放送局にも視聴者から問い合わせをいただき、私はその際に対応するメモを作っていたほどです。そのメモを参考に、きょうはこの「世論」について。

「世論」は、もともと「セロン」と読まれていました。戦前には、「ヨロン」は別にあって「輿論」と書きました。つまり、ヨロンとセロンは、かつて別のことばとして存在していたのです。「輿」は、漢和辞典によると「おおい(衆)。もろもろ」との意味があり、『輿論=大勢の人たちの意見』ということ、世論は『世間の議論、うわさ、風評』などと、ちょっと俗っぽい話のイメージがあったようです。京都大大学院準教授の佐藤卓己先生が4月6日の毎日新聞紙上で、憲法改正について「世論より輿論で対応を」と訴えているのも、こんな意味の違いによるものです。

これが昭和21(1946)年に『当用漢字』が制定されたとき「輿」の文字が外されたため、新聞社は思案の結果、「世」の字を当てて「世論」と書くことにしたのです。これが湯桶読みの「世論(ヨロン)」が生まれるきっかけのようです。ただし、当時、新聞社は「世論」をヨロンと読むか、セロンと読むかは、読者まかせだったそうです。

ちなみに『湯桶読み』とは、前の字を訓読み、後ろの字を音読みにする読み方で、その逆を『重箱読み』と言います。これは漢字の読み方としては、例外的なものです。以上を踏まえたうえで、現在、放送ではどうなっているのか?

「ヨロン」を採用しています。

『NHKことばのハンドブック第2版」は、「ラジオしかなかった時代は、文字にとらわれる必要がなかったため、一般的な「ヨロン」を使っていたが、テレビが登場して「ヨロン」を文字で表すことが必要となり、「世論」とするほかなかった」と記しています。

放送局に問い合わせる方は、ほとんどが「セロンが正しいはず」という意見でした。私は、このような歴史的経過を説明しつつ、「わが社では、ヨロンに統一しています」と、説明していました。こんな視聴者からの鋭い問い合わせに、びくびくすることもありますが、そのたびにいい勉強になったものです。

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