FC2ブログ
藤村幸司
http://fujimurakoji.blog91.fc2.com/
World Wide Weblog
立ち位置
2007-09-02 Sun 09:00
我々の業界で言う『立ち位置』とは二つあります。ひとつは、読んで字の如く、「立つ位置」。カメラでうまくとらえられるように、あるいは、照明がきれいに当たるように、出演者が、スタジオや舞台で、「この時は、ここに立つ」という場所のこと。足もとに目印のテープが貼ってあったりします。これは物理的な『立ち位置』。

対して、『精神的立ち位置』とでも言うべきものがあります。私たちは、テレビの仕事でも、イベントの仕事でも、その中での自分の『立ち位置』を考えます。それには『役割』とか『責任』の意味合いが入ってきます。漫才に『ボケ』と『つっこみ』が、スポーツに『ディフェンス』と『オフェンス』が、芝居に『主役』と『脇役』がいるように、その仕事において、私は何をすべきで、何が求められているか、『自分の立ち位置』が、あいまいのままだと、結果は的外れになってしまいます。世界陸上の放送を見ていて、そんな『立ち位置』の見極め方の難しさを、つくづく感じました。

きのう、メダルには届かなかったものの、前日に続いて日本記録を更新する記録で、世界の5本の指に入った男子400リレーの塚原、末続、高平、朝原の各選手。4人すべてが全力を尽くし、レース後の表情には、無念さよりも達成感が読み取れました。私もテレビの前で、体の芯が震えるような感動を受けました。

しかし、その後に俳優の織田裕二さんが、しゃべり始めると、感動が急に冷めていくのに気づきました。彼は番組のメインキャスターとして、よく勉強していることも伝わってきますし、選手たちとも精神的な交流を深めていることも分かります。日本チームの応援団リーダーという役割もあるのでしょう。それにしても、ひとりで熱いのです。語りすぎるのです。主役が変わってしまうのです。制作者側は、キャスターが視聴者と同じ立ち位置に立って感動を伝える狙いがあるのでしょう。でも、そこに少しでも温度差が生じると、見ている側は、おいてけぼりにされてしまいます。

これには、私自身も過去を振り返って、反省することが少なくありません。自分の思いいれが強ければ強いほど、感動を伝えたいと思えば思うほど、ひとりで暴走していました。自分の『立ち位置』が、ぐらついていた証拠です。陸上を、そして日本選手を、こよなく愛する織田さんだけに、視聴者が彼といっしょに感動できる立ち位置があるはずです。

『アナウンサー藤村幸司ドットコム』
スポンサーサイト



別窓 | テレビに物申す | コメント:1 | トラックバック:0 | top↑
| アナウンサー・藤村幸司BLOG |
copyright © 2006 アナウンサー・藤村幸司BLOG all rights reserved. powered by FC2ブログ. template by [ALT DESIGN].
/