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藤村幸司
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誰のためのデジタル化?
2007-09-13 Thu 15:27
バブルの頃には、まさか「潰れる」などとは想像もできなかった銀行、ゼネコン、百貨店など、大手一流企業の倒産、合併、再編のニュース。最近では耳にしても、まったく驚かなくなりました。それでも「テレビ局だけは別」という確信のない安心がありましたが、今やそうは言っていられない時代になっています。その一番の理由は、国の施策によって2011年7月に完全移行する『地上デジタル放送』にほかなりません。

民放連はきのう、地上デジタル放送に伴う全民放テレビ局の設備投資額が約1兆440億円になる見通しだと発表しました。4年前の試算より約3割も増えた額です。試算は、まだデジタル放送が始まっていなかった時点なので、スタートしてみたら、予想以上にお金がかかりそうだというわけです。これはローカル局では、1社当たり平均54億円の新規投資になります。

実際、私もデジタル化に向けた作業をしていましたから、これは、とんでもないお金がかかる事業だというのを実感として理解できます。これまでのアナログ機器はすべてお払い箱で、まったく別に新しい放送局を作るのと同じことなんですから・・・。平成になって開局した、いわゆる『平成新局』などは、ようやく開局時の設備投資を償却して、「いよいよこれから」という時に、新たな、それも莫大な借金を抱えねばならないわけで、まさに「生きるか、死ぬか」の存亡の危機を迎えています。

だから管轄する総務省は、ひとつの企業がいくつものマスコミを独占することを認めない『マスメディア集中排除原則』を見直し、体力のない地方局の合併の可能性も探っています。それは、地域内での系列局同士のケースや、同県内の他系列同士など、さまざまなパターンが考えられます。

合併にせよ、再編にせよ、相手より有利な立場にいるために、経営基盤を固めるのが先決であるのは言うまでもありません。そのために、経営者にとっては「いかにコストをかけずに、儲けるか」が一番になります。テレビ現場の人間は「視聴者に喜ばれる、質の高い作品を作りたい」と常に考えていて、その目的のためだけに、徹夜も休日返上もいとわない者も少なくありません。でも経営者に言わせれば、「いい作品なんて必要ない。売れる商品(番組)を作れ」ということになります。当然、視点は視聴者でなく、スポンサーです。

これでは、いったい「誰のための、何のためのデジタル化」なのか分からなくなります。でも私は、現場から「いい作品を作りたい」という気概がなくなった局から、衰退の道に進んでいくと信じています。そう思わないとやっていられませんし。今後、テレビ局再編は、どうなるんでしょうか・・・。

『アナウンサー藤村幸司ドットコム』

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