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藤村幸司
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必要なのは聞く力(1)
2008-01-25 Fri 19:01
セリフを巧みに喋るのが良い俳優ではなく、相手のセリフをしっかり聞き、心で受け止めることができる人こそ良い俳優の条件ではないか。ふと、そんなことを思った。セリフは役者ごとに個別に存在するものではなく、相手のセリフががあってはじめて、次のセリフが存在する。この戯曲と役者に、それを教えられた。

ゴドーを待ちながらなんだか分かったようなことを書いています。2002年1月、東京・渋谷のシアターPUPAでの公演『ゴド―を待ちながら』を観た後、パンフレットの片隅に書きとめた私の観劇メモです。今、読み返すと偉そうで、少々恥ずかしくなります。PUPAなんてあまり聞かない劇場ですが、これはBunkamuraのシアターコクーンに作られた特設小劇場。シアターコクーンの舞台の上に、舞台と客席を作り、本来の客席は全く使わないという、何とも贅沢な劇場で、主演は串田和美さんと緒方拳さん、演出も串田さんでした。

『ゴドー~』は、アイルランド出身の劇作家、サミュエル・ベケットの作品で、1953年にパリで初演された不条理演劇です。串田×緒方のゴドーは、どこまでがセリフで、どこからがアドリブなのかと思わせるくらい、やり取りが自然でした。それどころか、芝居を観ていることを忘れてしまうくらい、今まさに目の前で起こっている出来事に遭遇したような感覚を味わいました。観劇後、私はその足で渋谷の本屋に飛び込み、翻訳本を買ったのです。どこまでがセリフかを確認するために。

その脚本(安堂信也/高橋康也・訳)は、テンポの良い短いセリフの積み重ねが特徴で、今観た芝居は、それを忠実に演じていたことを知りました。文字に命が吹き込まれたセリフ、脚本の持つ“息づかい”とでも言うべきリズムを見事に表現していました。そこで、「セリフは個別には存在していない」「相手のセリフを聞ける役者が、本当の良い役者」などと感じ、走り書きしていたのでしょう。

6年も前に観た芝居の事を今ごろ書いたのには訳があります。今、読んでいる本に、私がこのときに感じたことと同じことが書かれていて驚いたのです。

つづく

『アナウンサー藤村幸司ドットコム』
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