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藤村幸司
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舞台は楽し~ミュージカル・春のめざめ
2009-06-14 Sun 00:00
2007年のトニー賞授賞式のテレビ中継で初めて聞いた『春のめざめ』というタイトル。そのとき最優秀助演男優賞に輝いた、ジョン・ギャラガー・ジュニアのスピーチについて、このブログで取り上げましたが、その地味なタイトルからは中身については想像できませんでした。が、ついに本編に触れることができました。トニー賞8部門を受賞したこの話題作を、5月2日から劇団四季が日本語版にしてロングラン上演しているのです。
春のめざめ
もともと『春のめざめ』は、1891年にドイツの劇作家・フランク・ヴェデキントによる戯曲で、思春期を迎えた少年少女の不安定な心の内や性への葛藤を生々しく描いています。ところが当時としては、あまりのもセンセーショナルな内容が災いして上演されず、ようやく初演にこぎつけた1906年にも論議となり、性表現が削除されての上演となりました。完全な形で演じるまでには100年近くもかかったそうです。

これをスティーヴン・セイター(脚本・作詞)と、シンガー・ソングライターのダンカン・シーク(音楽)が、ロックミュージカルとして再構築し、2006年、オフ・ブロードウェーで上演し大ヒットとなったのです。そう頻繁にブロードウェーに行けるわけでもないので、『春のめざめ』は来日公演でもあれば観たいと思っていましたが、日本語版が観られるとは・・・。それも劇団四季版としてですから驚きました。かつて四季の会報誌には、『春のめざめ』公演について検討したものの、浅利慶太代表が反対していると伝えられていましたから。

日本と欧米の宗教観や道徳観、教育観、社会観の溝が埋められないというのがその理由でしたが、観終わって、代表が反対していた意味がわかったような気がしました。ズボンを下ろして“半ケツ”状態でのセックス描写や、際どいマスターベーションの表現、男同士のキスシーンなど、これまでディズニーミュージカルで夢を与え、昭和3部作で歴史を直視し、ファミリーミュージカルで友情や勇気を教えてくれていた劇団四季のミュージカルラインナップとは、まったく別の世界だからです。でも、この1作が加わったことで今後、四季のレパートリーの広がりが大いに期待できるとも言えます。四季のミュージカルファンの方は、固定概念を捨てて、真っ白な気持ちで観てください。

ところでこの作品、ほとんどの四季ミュージカルを制覇し、リピートしている私にもお馴染みのキャストがいないフレッシュな顔ぶれ。入団数年という若手たちで構成されいています。そのためか若い女性陣の多くが四季独特の発声法(母音法)に精一杯で、技術に振り回されるような気がしました。一音一音だけがバラバラに耳に残って、文章として、かたまりとしてのセリフが伝わりにくいのです。母音法とは一音一音を明瞭に発音し、セリフの一音たりとも落とさず観客に伝えるというもので、私も大賛成な考え方ですが、これがいかに容易くなく、劇団四季はその高みに挑んでいるかということを、若手ばかりの公演から、あらためて感じました。

若者の中に、大人の役として出演するのが、ベテランの田代隆秀さんと都築香弥子さん。作品の“重し”となっていて登場すると安心させます。一音一音が明瞭かつ不自然さがない言い回し。これぞ母音法のめざすところなのでしょう。しゃべり手の一人として、その難しさが胸にしみ、勉強にもなります。

四季は俳優の個性よりも作品自体を重視します。ただし、この『春のめざめ』に関して言えば、俳優個個の個性しだいで、作品をさらに魅力的にするミュージカルのような気がします。特に主役のメルヒオールを演じた柿澤勇人さんは、繊細な若者を演じきっていて、その存在感は“舞台の芯”を作っていました。2007年研究所入所ですからまだ新人ですが、すでに『ライオンキング』のシンバ、『人間になりたがった猫』でライオネルと、主役を演じていることを知り納得。イケメンぶりも半端ではなく、もっと観てみたい役者さんの一人になりました。顔はお笑い芸人アンジャッシュの渡部さんとかぶるんですが・・・。それから、イケメンとは対極に位置する(失礼)、白瀬英典さんにも圧倒されました。伸びがあって、美しいし力強い歌声。『ライオンキング』ではバンザイ役も演じているとか。ぴったりです。

まだまだ始まったばかりの『春のめざめ』。日々、若手の役者は目をみはる成長をするでしょうし、キャストの組み合わせが変わると違った魅力も生まれるでしょう。固さが取れ、もっとはじけるとさらに楽しみです。これからどんどん進化する作品が、劇団四季の『春のめざめ』かもしれません。しばらくしたら、リピートしてみよう。

DATA『春のめざめ』自由劇場(6月11日マチネ)
メルヒオール:柿澤勇人  モリッツ:三雲 肇  ハンシェン:一和洋輔
エルンスト:竹内一樹  ゲオルグ:白瀬英典  オットー:玉井晴章
ベンドラ:林 香純  マルタ:撫佐仁美  テーア:浦壁多恵
アンナ:松田佑子  イルゼ:石塚智子
大人の男性:田代隆秀  大人の女性:都築香弥子
【男性アンサンブル】加藤 迪  南 晶人
【女性アンサンブル】岸本美香  有村弥希子

【2009.10.6 追記】
このブログを書いた時点では『春のめざめ 劇団四季キャスト盤』のCDが発売されるはずでしたが、何度も発売日が延期になっていて、いやな予感がしていました。そして予約から4か月、きょうネット予約していた販売店から、以下のようなメールが・・・「誠に申し訳ございませんが、ご注文を頂戴いたしました商品でございますが、メメーカー代理店より【販売中止】の回答が入り、商品手配が不可となってしまいました為、本ご注文は、キャンセルとせざるを得ない事となってしまいました。お客様には大変ご迷惑をお掛けいたしまして、誠に申し訳ございませんが、何卒ご容赦頂きますようお願いを申し上げます。心よりのお詫びを申し上げます。 」とのこと。ほかのネットショップもすでに削除済み。権利関係なのか、何なのかわかりませんが、残念です。楽しみにしていたのに・・・

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