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藤村幸司
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芸術、文化も仕分け
2009-11-30 Mon 21:10
上京して、観劇(マチネ・昼公演)と観劇(ソワレ・夜公演)の空いた時間には、よく美術館や博物館巡りをします。やはり東京はミュージアムの宝庫です。港区東新橋のカレッタ汐留にある広告の博物館『アド・ミュージアム東京(ADMT)』は、懐かしのコマーシャルの視聴ができたりポスターの展示、時代を映すヒット商品や江戸時代の広告など多彩な常設展示と、テーマを絞った企画展が魅力で、何度も行っています。『四季劇場・海』と同じビルにあり、入場無料ですから、演劇ファンにもおすすめ。港区愛宕にある『NHK放送博物館』にもよく行きます。放送の歴史を、古い機材や音源から知ることができ、この業界で仕事をしている身としては勉強になりますし、テレビ好きにもたまりません。こちらも入場無料。企画展もおもしろいですよ。そんなわけで、先日も観劇の合間に、前から気になっていた、ある施設を初めて訪れたのです。
伝統芸能情報館

『伝統芸能情報館』

その名の通り、歌舞伎や浄瑠璃、文楽など日本の伝統演劇の資料を展示する施設で、千代田区隼町の国立劇場に隣接して建っています。国立劇場が収集した博物資料を入れ替え企画展示しているそうで、ここもうれしいことに“入場無料”なのです。ところが・・・。

来年1月27日までは『新歌舞伎の世界』という企画展が開かれているのですが、展示品があまりにも物足りないのです。江戸時代の歌舞伎の錦絵や、公演案内、小道具など数点と、年表があるくらい。お世辞にも「見応えがある」とは言いにくい内容でした。おそらく、それぞれの品は貴重で高価なのでしょうが、展示の仕方自体に魅力がないのです。

さらに、この企画展の目玉的な扱いが、映像資料『新歌舞伎』。昭和61年に国立劇場が自主企画し、岩波映画製作所が作った35分の映画です。明治以降、坪内逍遥をはじめとする新しい作家たちが、新時代に合った演劇として生み出した“新歌舞伎”の歴史が紹介され、六代目・中村歌右衛門や十七代目・中村勘三郎などの懐かしい映像は興味深かったのですが、上映しているのが家庭用のテレビ。その前に、7~8人が座れるソファーがあるだけのシアタールーム。ちなみに、土曜日の夕方、35分間の上映中、誰も入ってきませんでした。見ていたのは私一人の貸し切り状態です。

以前、墨田区横網にある『江戸東京博物館』で見た歌舞伎関連の展示にインパクトがあったものですから、あまりにも差がありすぎました。まぁ“タダ”ですから、文句は言えないと思っていたら、実はそうでもないのです。

ここを運営しているのは、最近、めっきり評判の悪い“独立行政法人”のひとつ、『日本芸術文化振興会』という団体。そうです、こちらにも少なからぬ税金が、文部科学省の事業として投入されているのです。そう思って見てみると、企画展のチラシも立派。オールカラーのA4版の見開き仕様。小さな劇団が公演のチラシ作るのに、色数減らしたり、紙質を落としたりして苦労しているのと比べたら、無料の企画展にも、お金かけています。さらに残念なことに、このパンフレット、中身がない!ときています。外国人観光客に向けて英語を併記しているのはいいとして、歌舞伎ファン向けなのか、初心者向けなのか、誰に向けて書いているかもわかりません。
新歌舞伎の世界

ちなみに、伝統芸能情報館の2階は、演劇関係図書など約23万冊を収蔵する図書閲覧室、3階は、液晶プロジェクターと100インチスクリーンを備えた132席の講義室、4階、5階が事務室と立派。実は、演劇の図書資料を見たかったのですが平日しかやっていませんでした。

こんな伝統芸能情報館の運営をしている独立法人・日本芸術文化振興会は、今回、蓮舫議員らの“仕分け”の対象となりました。振興会が委託をしている新国立劇場運営財団と国立劇場おきなわ運営財団について「予算の圧倒的縮減」と判定されましたが、伝統芸能情報館のあり方も仕分けしたいくらいです。

そう言いながらも、私は個人的には、芸術、文化への国の支援は絶対に必要だと思っています。、舞台でも映画でも、観客収入だけで成り立っているのはごく一部。「収支を度外視してもいい」とは言いませんが、それらを商業的に自立できないからと言って切ってしまえば、文化も芸術もありません。数字だけでは判定できないのが文化です。

一方で、財政が厳しくなると、真っ先に切られやすい文化政策へのお金。「税金で芸術するなよ」との意見もあるでしょう。だからこそ、変な団体を数多く迂回することなく、必要としているところ、足りないところに、無駄なく助成が出る仕組みを作ってほしいと思います。文化のための税金を無駄に使っているところがあるとすれば、絶対許せません。今回の仕分け作業が、文化、芸術の衰退ではなく、活力になることを期待します。そんなことを伝統芸能情報館のチラシを見ながら感じたのでした。

公式HP『アナウンサー藤村幸司ドットコム』
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