藤村幸司
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より深く~ミュージカル『レ・ミゼラブル』の原点
2013-05-14 Tue 14:38
フランス版レミゼ
新演出版のミュージカル『レ・ミゼラブル』が東京・帝国劇場で幕を開け、その後、秋まで各地を回ります。去年公開された映画版の効果もあって、私のまわりのミュージカル未見の人たちからも「チケット取ったよ」という報告をよく耳にします。このブログが少しでも参考になれば、“レミゼ命”の私としてはうれしい限りです。

ミュージカル『レ・ミゼラブル』は、1980年にパリでフランス語版が上演され誕生しました。それを大幅に改定したのが1985年にロンドン初演の英語版。日本(87年~)をはじめ世界中でおなじみとなったのがこの英語版(ジョン・ケアード演出版)でしたが、25年を機に惜しまれつつも演出が変えられたのです。新演出では、これまでレミゼの装置のかなめであった盆(回り舞台)を廃止し、より立体的に縦方向を使ったセットや、原作者ユゴーの絵画をプロジェクターで映し出した背景が特徴です。直感的に初めての人にも分かりやすく、細かい演出になった一方、古いレミゼファンとしては「前の方が良かった」という部分があるのも事実です。私が観たプレビュー公演では「まだ毎日、改良が加えられている」と聞いたので、近々また確認に行こうと思います。

では「もともとのフランス語版はどうだったんだろう?」と考えるのが、“レミゼ命”の性。そこで『フランス語版オリジナルコンセプトアルバム』を聴いてみました(こんなときアマゾンって便利です)。当然フランス語なのでちんぷんかんぷんなんですが、フランス語独特の美しさと力強さに引き込まれます。また、より物語性を強く感じます。ただ、英語版とはアレンジが違うのはもちろん、曲順も違うし、歌っている役柄すら違うような気がします。輸入盤なので対訳もついていないし・・・。そこで、いい本を発見!(またまたアマゾンは助かる)。

渡辺諒・著『フランス・ミュージカルへの招待』によると、そのあたりも明らかになりました。まず英語版の幕開けは牢獄のシーン(新演出版はガレー船)ですが、フランス語版はマドレーヌの工場から始まります。つまりヴァルジャン再生のきっかけとなる司教との出会いがカットされ、即、子どものために身を売り、死んでいくファンティーヌの登場となっているのだとか。また英語版ではエピソードの説明部分が(あれでも)かなり増えているそうです。ということはフランス語版は、原作を知らずに観たら分かりにくかったかもしれません。

エポニーヌが歌う「オン・マイ・オウン」は英語版で初めて書き加えられたが、もとの曲はフランス語版でファンティーヌ(コゼットの母)が歌う「悲惨なメロディー」だったとか、名曲「彼を帰して」はロンドンの初日3週間前に主演の美しいテノールを生かすために急きょ入れたとか、コゼットが待っていたのは母親ではなく王子さまだったとか、うんちくがいっぱい。英語版にするにあたって、ストーリーも音楽も85パーセント変えてしまったといいます。ただおもしろいのは、テナルディエ夫妻のパートはそのままなこと。筆者は「~人間はそうそう変わらないし、変われない~人間であることを証明するかのようだ。時代や人間関係が大きく変わっていくなかで、コミカルな本音トークを謳い上げる彼らが不変軸になっていることは興味深い」と書いています。仏英のセリフ比較もありますので、より深くレミゼの世界に浸りたい方はCDとセットでどうぞ。

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舞台は楽し~魔劇「今日から(マ)王!」
2013-05-02 Thu 12:07
今日からマ王!
チラシによると、原作はライトノベル文庫からテレビアニメ化されヒットし、その後も、文庫やコミック、ゲームが売れているという人気作品だそうですが、そんな予備知識がまったくないまま劇場へ。『魔劇「今日から(マ)王!」~魔王誕生編~』を観劇しました。というのも酒井法子さん復帰の舞台を取材した際に稽古場でお話しし、「迫力と勢いがあっていい役者さんだなぁ」という印象があった兼崎健太郎さんや、実力派・元劇団四季の下村尊則さんが出演していたから。

主人公は人一倍正義感の強い高校生・渋谷有利。不良たちにからまれている友人を助けようとして返り討ちに遭い、水洗トイレに流されてしまうことから物語が展開する、かなり強引なファンタジー?。さらに流れ着いたのは魔族の国。そこで有利は魔族の王に祭り上げられ、敵対する人間たちと戦うわねばならない・・・と、どっぷりアニメの世界をミュージカル仕立てにしています。

文庫もアニメもコミックも知らず、先入観がないため、「原作とキャラが合ってる、合ってない」なんて考えることなく楽しめました。なんといっても魅力は若い役者さんたちの全力投球の演技。完璧にまとまった舞台とは違って、荒削りながら一生懸命で、スポーツを観ているような感覚。歌にダンスに殺陣、それぞれに個性的な出演者たち。ともすれば学園祭のノリにもなりますが、そこはベテラン下村さんが、どっかり構えて、しめてくれます。

主役の聖也さんは、テレビ番組で超人的なアクロバティックなダンスを見たことがあります。舞台でもその片鱗は見せますが、演出としてもっと入れて欲しかった気も。兼崎さんは抑えた芝居ながら、やはり声が通って舞台での存在感十分、加藤慶祐さんは遠くからでもそのイケメンぶりが分かります。また寿里さんは長身でかっこいいのと、コミカルな演技のギャップが客席をわかせます。そして何と言っても下村さんの演技力と歌唱力に圧倒され、そこで作品が成立しています。若手中心に全力で駆け抜ける舞台。「自分もまだまだがんばろう」とパワーをもらった1時間半でした。

魔劇「今日から(マ)王!」~魔王誕生編~
2013/4/25(木)~2013/5/6(月・祝) 銀座博品館劇場
出演:聖也/兼崎健太郎/加藤慶祐/樋口裕太/
寿里/小野麻亜矢/鳥越裕貴/下村尊則



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