FC2ブログ
藤村幸司
http://fujimurakoji.blog91.fc2.com/
World Wide Weblog
伝わった「ごめんなさい」後編
2007-06-12 Tue 00:00
きのうのつづきです。

昼間にゲットした食券みたいなラッキーセブンの整理券を握りしめ、雨に打たれて激しい音を立てている紅テントに近づいて行くと、聞こえてきた声。

「本日の公演は中止となりました」。

えーーーーー!きょうはこのために早起きして長崎から飛行機に乗ってやってきて、整理券取った後は延々時間をつぶして、ずぶ濡れになって、迷子になって、ようやくたどり着いたと思ったら、ちゅ、中止だと!!!今夜のホテルも手配しているというのに、「ど、どういうことなんじゃ!」

軽くめまいがしながら聞いてみると、大事な役どころの俳優さんが、腸捻転だかなんだかの急病で倒れ、中止せざるをえないというのです。「別の公演に振り替えます」というものの、ようやくスケジュールを合わせた上京なので「はいそうですか」というわけにもいかず。ならば、チケットの払い戻しをしようとしたら、チケットぴあの発券分はここではできないと言われ・・・。

そうこうしていたら、さっきまでほかのお客さんの対応をしていた雨がっぱ姿の男性がやってきて、「申し訳ありません、こちらでも払い戻ししますから」といって、すんなり返金完了。その男性はていねいに、そしてとにかく大きな声で「ごめんなさい、すみませんでした」と頭を下げました。私はその勢いに圧倒され、つべこべ言わずない心をこめた謝罪のことばに、イライラした気分が晴れていくのがわかりました。そのとき、かっぱのフードから落ちる雨粒の間から見えた顔、それが唐十郎さんだったのです。

あの唐さんが、ずぶ濡れになりながら若い劇団員たちと一緒に、いえ先頭に立って走り回り、お客さんの対応をしていたのです。そのあと、少しお話をしたのですが、さっきまで「どういうことなんじゃ!」と思っていた私が「大変ですね、がんばってください」と、こちらから、ねぎらいのことばをかけるほどに、気持ちが変わっていました。最後にまた、同じかっぱを着た劇団員たちと唐さんが一列に並んで、私に向って「すみませんでした、ご迷惑をかけました」と、深々と頭を下げ見送られた時には、彼らにさわやかさすら感じ、「次また、必ず来よう」と心に決めたのです。

弁護士の高井伸夫さんが著書の中で、謝り方の巧拙には5段階あると言っています。評価5は、「謝ることで、相手から従来以上の新たな信頼を獲得する謝罪」。唐組はまさにこれでした。評価4は「謝ることで従来の信頼を回復する」、評価3は「信頼までには至らないが、なんらかの形で相手を安堵させる」、評価2が「相手の気持ちをおさめるという最低限実現すべき線をクリア」、そして評価1とは「問題を大きくしたり、新たなトラブルの原因を作る謝罪」だそうです。

いざという時は、トップが先頭に立って対処する。そして、まず謝るべきは心から謝罪する。これが危機管理の基本であると、唐さんは身をもって立証しているような気がしました。世の中にはこの謝り方を間違えて、傷口を広げている評価1のトップの、実に多いことか。

あすのブログでは、文句なく評価5の謝罪をした、あの有名な方について書きます。




『アナウンサー藤村幸司ドットコム』

別窓 | つぶやき | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<<痛みを伴った謝罪だからこそ | アナウンサー・藤村幸司BLOG | 伝わった「ごめんなさい」前編>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| アナウンサー・藤村幸司BLOG |
copyright © 2006 アナウンサー・藤村幸司BLOG all rights reserved. powered by FC2ブログ. template by [ALT DESIGN].
/