FC2ブログ
藤村幸司
http://fujimurakoji.blog91.fc2.com/
World Wide Weblog
日本語が減っていく
2007-06-17 Sun 00:00
このブログで、気が置けない友人たちについて書いたところ、ある読者から「気が置けないって、いい意味だったんですね」と言われました。このことば「気が置けない」とは「気の許せない」とか「油断できない」と勘違いしている人が多いようですが、正しくはまったく逆で、「気配りや遠慮をしなくてよい」という意味です。

実は、これまで私は放送で、この「気が置けない」を使わないようにしてきました。言いたいときは「気を使わなくて済む人」「遠慮の要らない人」と言い換えるようにしていました。なぜなら、このことばが、こんなふうに逆の意味に取られる可能性があるからです。正しい日本語なら堂々と使えばいいという人もいますが、真意が伝わらなかったり、誤解を招いたり、ましてや反対の意味にとらえられては本末転倒ですから。

ことばが一瞬にして耳から入り消えていく放送と違って、文字であるブログでは前後関係を読めば誤解はないと思い、このことばを使いましが、放送で堂々と間違った意味で使われているのを聞くと悲しくなります。このほか間違った意味に取られやすいことわざ、慣用句を挙げてみます。

【流れに棹さす】
時流や傾向に逆らい、勢いを失わせる行為として、議論中に横やりを入れた人に「流れに竿さすなよ」と怒ったりしますが、これは間違い。正しい意味は、流れのままに竿を操って船を進めるようすから、「うまく流れに乗って物事をすすめること」。

【役不足】
この間違いにもよく遭遇します。「私が友人代表でスピーチするなんて、そんな役不足です」とか耳にしますが、本当は「本人の力量に比べて役目が軽すぎること」。「友人代表ではなくて主賓としてしゃべらせろ」と言いたいのなら、それでいいんですが・・・

【閑話休題】
私も長らく間違って認識していました。高校時代使っていた参考書に閑話休題という囲み記事があって、ちょっとした予備知識とか、サイドネタのようなものが書かれていました。頭休めみたいなコーナーでしたから、てっきり「本題をちょっと外れて、気楽な話でもしましょう」という意味だと思っていました。それが正しくは、逆の意味で、「それた話を本題に戻すこと」を言うんです。

【情けは人のためならず】
これは、「情けをかけたら、その人のためにならない」という間違った意味も、現実ではまんざら間違いと言えないのですが、本来は「人に情けをかけたら、めぐりめぐって、いつか自分にもどってくる」という意味。なんだか打算的な気もしますね。

アナウンサーは、これらのことばを正しく使って、日本語を守ることも仕事だと思います。でも半数以上の人が違う意味でとらえるようでは、放送で使えません。使わないから忘れられ、忘れられるから使えない。こんな悪循環で、使える日本語はどんどん減っていくのは、恐ろしいことなんですが・・・。

『アナウンサー藤村幸司ドットコム』


別窓 | テレビに物申す | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<<便利すぎも、どうなのかな・・・ | アナウンサー・藤村幸司BLOG | 日本も捨てたものじゃない?>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| アナウンサー・藤村幸司BLOG |
copyright © 2006 アナウンサー・藤村幸司BLOG all rights reserved. powered by FC2ブログ. template by [ALT DESIGN].
/