FC2ブログ
藤村幸司
http://fujimurakoji.blog91.fc2.com/
World Wide Weblog
A-1グランプリにて
2007-07-17 Tue 00:54
漫才は『M-1グランプリ』、ピン芸人なら『R-1ぐらんぷり』 。これら吉本興業が主催する若手芸人のコンクールは、全国放送もされ、今や、かなり有名になりました。一方、MでもRでもない『A-1グランプリ』なる大会が大阪で行われることを知り、行ってきました。サブタイトルには「話術の金メダルは誰の手に!」とあり、『A-1グランプリ』の『A』とは、『アナウンス』を意味しているようです。つまり話術を競うコンテスト。

a1.jpg大会は、吉本興業が全面バックアップするアナウンサー養成所『アナ・トーク学院』が開いたもので、エントリーするのも、その生徒さんたち。要するに、学校の卒業発表会です。とはいえ、卒業発表会と言ってしまえば、一般の方たちは興味を持ちませんが、『A‐1』とネーミングしたことで、入場料2500円という立派な興行になるわけですね。さすが吉本!

パフォーマンスあり、お芝居仕立てありで、退屈させない工夫がありましたが、コンテストは『朗読』によって審査されます。驚いたのは、生徒さんたちは若い人はもちろん、ご年配の男性や女性が少なくないこと。いくつになっても、『話しことば』に興味を持っていただくことは、しゃべり手の一人として、ありがたいことです。さすがに、その朗読は『只今勉強中の生徒さん』の域を脱しませんが、31人の朗読を聞きながら、改めて感じたことがあります。

それは「魅力的な朗読とは、けっしてテクニックに長けた朗読とは限らない」ということ。

ことばには、その人の普段の考え方や人生観、人格、品性、生きてきた歴史までも、あからさまにしてしまう力があります。だからアナウンスの技術は未熟であっても、その人が、全人格をもって朗読原稿に対峙した時に、聞く者の心を動かすのだと思うのです。そんな朗読を聞いていると、少々の技術の拙劣なんて関係ないと思ってきます。

一方で、原稿ではいいことを言っていても、響いてこない朗読もありました。テクニックばかりが先行して独りよがりになり、肝心の『魂』が感じられない。魂がないから、逆に『アクセント』や『イントネーション』、『鼻濁音』に『無声化』などの技術的なボロが目立ってしまいます。これは概して、若い人の朗読に多く、年配になるにつれ、朗読自体に、味わいが深まっているような気がしました。

以前、このブログにも書きましたが、私は、つねづね後輩たちに、「アナウンスがうまくなるためには、技術を身につけることも大事だけれど、その前に“素”の自分を磨け」と言ってきました。今回は、まさに、それを確信したのです。

私の心に響いたいくつかの朗読は、それだけ人間を磨いてこられた証しにほかなりません。自分のすべてを、さらけだす覚悟、自分自身に対する自信、それが私の心を動かす原動力だったのかもしれません。

「はたして、わたしは今、心に響くことばが発せられる人生を刻めているんだろうか」
会場からの帰り道、ふと自問自答していました。

『アナウンサー藤村幸司ドットコム』


別窓 | つぶやき | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<<元・報道キャスターとして | アナウンサー・藤村幸司BLOG | TVと選挙>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| アナウンサー・藤村幸司BLOG |
copyright © 2006 アナウンサー・藤村幸司BLOG all rights reserved. powered by FC2ブログ. template by [ALT DESIGN].
/