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藤村幸司
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映画『ヒロシマナガサキ』
2007-08-11 Sat 19:44
20070811193510.jpgきょう、1本の映画を観に行きました。見ておかねばならない映画でもありました。アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞も取っている 日系3世のスティーヴン・オカザキ監督による『ヒロシマナガサキ』です。被爆者14人の証言を集めたドキュメンタリーで、先月28日から東京と大阪でロードショーが始まり3週目。大阪では、きょうから朝の1回だけの上映となっています。

「やはり、この種の作品には、お客が入らないんだろうな・・・」と悔しがりながら、映画館に到着してみると、入口には長い行列。何かほかの人気作品でも上映しているのかと思って、劇場に入ってびっくり。『ヒロシマナガサキ』は、すでに、ほぼ満席になっているではありませんか。年配の方たちの姿も見えますが、若い年代も数多くいます。被爆地を一歩離れると、その温度差に愕然とすることが多いのですが、これは嬉しい驚きでした。

映画は、東京・渋谷の街頭で、若者たちに「1945年8月6日、何があったか」を問うシーンから始まります。「何か大きな地震があった?とか」「私、歴史は苦手なんで・・・」。「広島に原爆が投下された日」という答えは、出てきません。現実を見せつけられた気がしましたが、ひとりの正解者もいないとは、あまりにもひどい。

でも「これは何人にインタビューして、そのうち何人のコメントを使ったのか」、ドキュメンタリー番組を作ったことのある者なら、すぐそこに、ひっかかると思います。ドキュメンタリーとはいえ、たとえ、やらせをしなくても、編集の仕方によっては、作者の意図を思いのままに表現できるわけですから。

しかし、この映画を観進めていっても、そんな作者の思惑(おもわく)のようなものは、感じられませんでした。それは作品に、ナレーションがいっさいなく、14人の被爆者と原爆投下に関わった4人のアメリカ人の証言、そして当時のニュースフィルムや記録映像のみで構成されているからだと思います。制作者側は何も語らない。でも外堀を埋めるように、淡々と証言を積み重ねることによって、本丸=主題にたどり着かせています。

帰宅後、オカザキ監督の会見の記事を見つけました。それに私の街頭インタビューに対する疑問の答えがありました。

「若者のインタビューでは、30~40人に話をきくつもりだったが、最初の10人がだれ一人知らなかったので、これも何らかのメッセージではないかと思ってそこで撮影をやめた。編集で削除した人は1人もいない」。

そんな監督の思いが、直接的なことばを使うことなく、観る者に伝わってきた気がします。被爆者は高齢化し、次々と亡くなっていくのとは逆に、核の恐怖は世界に拡散しています。こんな時代だからこそ、体験者たちの生々しい証言を、しっかり聞いて、残しておく、伝えていくのが、今生きている我々の責任であります。

映画に出演されている被爆者は、私が何度も話を聞いたり、取材したことがある方も多くいらっしゃいます。そんな私でさえも、今回初めて知った話も少なくありませんでした。そして、当時のアメリカのニュース映像なども衝撃でした。

「戦争は決して許されない」「一刻も早く核廃絶を」と願う被爆者に対して、「原爆投下は後悔していないし同情もない」と、あっさり言い切る4人のアメリカ人たち。それに久間・前防衛大臣の「原爆しょうがない」発言が、だぶって聞こえました。

この作品は6日夜、アメリカのケーブルテレビを通じて、全米で放映されたそうです。どれだけの人が観て、どう感じたのかはわかりませんが、何があろうと風化させてはならない事実を、伝え残す意味は図り知れません。映画『ヒロシマナガサキ』は、このあとも、順次全国で公開されるようです。どうか、ぜひ観てください。ぜひ・・・。

『アナウンサー藤村幸司ドットコム』



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この記事のコメント
#151 先日バスの車内で
私もこれは観たい映画の一つです。先日バスの車内でこんな会話が聞こえてきました。その二人は県外から出張に来ていたと思われるスーツ姿の50才代の男性でした。「原爆が落とされたのは長崎と広島はどっちが先だった?」「どっちでしたっけ?」…結局二人は答えを出す事もなくあいまいなまま、バスを降りて行ってしまいました。若い人なら未だしも、いい年をした大人がこんな会話をしていたのは、長崎で生まれ育った私には衝撃でした。日本人でありながら被爆地以外の人たちはこの程度の認識しかないのかと悲しくなりました。
2007-08-11 Sat 23:16 | URL | Y.I #-[ 内容変更] | top↑
#152 Y.Iさん
悲しいけれど現実はそうなんでしょうね。高校生平和大使だった若者たちが、卒業後、県外に出てみて、「平和に対して、あまりにも認識が低くて悲しくなった」と言っていたのを、今、実感として理解できます。
この映画は、長崎の人でも知らなかったこともあります。ぜひ観てください。
2007-08-12 Sun 00:36 | URL | 藤村幸司 #kCTSxNgQ[ 内容変更] | top↑
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