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藤村幸司
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舞台は楽し~ミュージカル・グレイ・ガーデンズ
2009-12-02 Wed 19:29
ドキュメンタリー映画をミュージカルに仕立てた異色作『グレイ・ガーデンズ』は、超セレブから没落して、1970年代、ゴミ屋敷化した豪邸で暮らした母と娘の物語。これが一般の親子ならここまで話題にもならなかったはずが、母親は第35代アメリカ大統領ケネディの妻、ジャクリーンの“おば”で、娘は“いとこ”だったものですから、当時、メディアが放っておきませんでした。二人の生活を追ったドキュメンタリー映画もカルト的な人気を集め、この二人、今でもアメリカでは、かなり有名なんだそうです。やはりケネディ家って、特別なんですね。
グレイガーデンズ

ただし、日本ではまったく知られていない話。これを宮本亜門さんが予備知識のない日本人向けに演出した日本版ミュージカル『グレイ・ガーデンズ』が、現在、東京・日比谷の『シアタークリエ』で公演中です。というわけで、例のごとく東京までひとっ飛び、観劇してきました。でも正直、歌って踊ってのミュージカルではない地味そうな作品で、ひいきの吉野圭吾さんと光枝明彦さんが出演するから観に行っただけのこと、作品自体にそれほど期待していたわけではありませんでした。それが・・・

シアタークリエ

見事に裏切られました!

まず何といっても、大竹しのぶさん。1幕では、セレブ時代の母親役、2幕では落ちぶれた後の娘を演じたのですが、特に2幕は、強烈な個性を貫いた娘そのもので圧倒されました。ドキュメンタリー映画で本物の娘も見ましたが、本人が乗り移ったようにも感じさせました。“役”なのか、“地”なのか、ぶっとんだ芝居は大竹さんの真骨頂ですね。決してうまくない歌や、色気のない声も、ぴったり(これも演技??)。

そして草笛光子さん。これが10年ぶりのミュージカル出演だそうです。制作発表の場では「10年前、ミュージカルに自信がなくなり、二度と出してもらえないと諦めていた」と、思いもよらぬ事実を明らかにしましたが、その10年分の思いが伝わるような演技でした。かつての役がらのように、美しく歌いあげるのではなく、年寄りが愚痴をこぼしながら、しわがれ声で歌うという役。ミュージカル俳優としての実力と経験と、そして役に近い実年齢が融合し、見事に草笛さんを没落セレブの母親にしていました。大竹さん、草笛さんとも、考えられる最高のキャスティングだと思います。

先日、亡くなった森繁久弥さんが『屋根の上のヴァイオリン弾き』のテディエを演じたのが73歳まで。草笛さんの76歳での本格的ミュージカル出演は、日本の演劇界で最高齢だそうです。こうしてベテラン俳優がミュージカルの舞台に挑戦し続けてくれることは、ミュージカルファンとしても、この上なく嬉しいことです。

1幕で娘を演じたのが、元タカラジェンヌの彩乃かなみさん。初めて拝見しましたが、美しさとかわいらしさ、そして強さを秘めた演技は見事。クセがない伸びやかな歌も良かったです。

1幕でその婚約者、2幕ではゴミ屋敷に出入りする優しい青年を演じているのは、川久保拓司さん。『ウルトラマンネクサス』で主演して注目された役者さんだそうですが、私が初めて見たのは、その前の年2003年3月、美輪明宏さんの舞台『黒蜥蜴』でした。ただほとんど記憶がなく・・・。川久保さんの強烈な印象が残っているのは2006年8月の舞台『南国プールの熱い砂』でした。さわやかで、元気いっぱい、声がよく通って、輝いていました。だからまた見たい役者さんだと思っていました。それ以降も、舞台に出演していらしたようですが、私にとっては久々の川久保さんの舞台。輝きはあの時と同じながら、ずいぶん存在感が増していていました。1幕と2幕で全く違うキャラクターを見事に演じ分け、さらに歌は初めて聞きましたが、劇場の隅々まで響く力強い歌声にびっくりさせられました。もっと、ミュージカルにも出てほしい役者さんです。

wowowで、ドラマの『グレイ・ガーデンズ』を見たときに、「吉野さんの役はコレだな」と予想した通り、お抱えピアニスト役の吉野圭吾さん。こんなアクの強い、怪しい役が多く、これがまた、毎回はまっているのですが、一途な熱血青年のような吉野さんも見てみたいです。ぜひまだ若いうちに?『レ・ミゼラブル』のアンジョルラスを再び!

さすが光枝明彦さんは、しゃべっても、歌っても、安心して芝居にのめり込ませてくれます。うまいです。これこそ名人です。歌って踊って、笑わせて、泣かせて、ここまで何でもやってくれる役者さんは、なかなかいません。、

ゴミ屋敷、老老介護、社会の中の弱者、アメリカの凋落など様々な社会問題も内包する作品ながら、一番のテーマは親と子の愛なのかもしれません。ミュージカルといいながら、どちらかと言えば、歌が多いストレートプレイという印象でしたが、要所要所のナンバーがスパイスとなって効いています。そして役者さんたちの演技のぶつかりが、全体に“凄(すご)み”となって漂っている舞台でした。ラストシーンでは思わず涙がこぼれました。

ミュージカル『グレイ・ガーデンズ』は、6日までの東京公演のあと、12月10日~13日は大阪・シアターBRAVA!、12月18日~19日は名古屋・中日劇場でも公演されます。

11月26日ブログ 【予習】グレイ・ガーデンズ

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