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藤村幸司
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たおやか・・・玉三郎さん
2010-12-10 Fri 10:11
玉三郎玉三郎1

「たおやか」とは、しなやかで優しいさま。また、しとやかで優美なさま(明鏡国語辞典)を表すことば。まさに、昨夜お会いしたこの方こそ「たおやか」を実在化したような存在でした。歌舞伎役者・稀代の女形、五代目・坂東玉三郎さんです。市川海老蔵さんの無期限謹慎によって、東京・ル テアトル銀座で来年1月に予定されていた『初春花形歌舞伎』が中止になり、制作の松竹が“代打の切り札”にしたのが『坂東玉三郎特別公演』(来年1月2日~20日)だったのです。

きのう、その制作発表記者会見が京都市内のホテルであり、私も取材に行きました。現在、玉三郎さんが京都・南座の『顔見世興行』に出演中ということもあり、東京での公演の発表を京都でするというのも非常にまれなこと。玉三郎さんは舞台を終えて会見に駆けつけました。何もかもが急で、突然で、まわりはドタバタの中、会場に姿を見せた玉三郎さんだけは、しっとりとして優雅。スターのオーラとは、このことなのか、その気品にまず圧倒されてしまいました。

そこで発表された演目が『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)』の『阿古屋』と、舞踊『女伊達』。これには、歌舞伎ファンが声を上げて喜んでいるに違いありません。特に『阿古屋』は、玉三郎さん演じる平景清の愛人・阿古屋が、役人から、逃亡中の景清の居所を問いただされる際に、琴、三味線、胡弓を順に弾かせられ、音色の乱れで動揺していないかを試される場面が見どころ。女性の気品とプライド、心意気を、3種の楽器を演奏しながら細やかに演じなければならないという難役。今、演じられるのは玉三郎さんただひとりです。

これは人気の海老蔵さんの公演中止というアクシデントをも吹き飛ばすほど、ファンにとっては、ビッグでサプライズなプレゼントになりました。しかし3年ぶりに阿古屋に挑戦する玉三郎さん、この要請を受けたときの心情はどうだったのか、聞いてみました。すると「実のことを申しますと、1月はほかの役者さんは皆、出払っていて(出演中で)、私しかいなかったのです(笑)。準備の時間もなく、ちょっとためらいましたが、気持ちよくお受けしました。役者は声をかけてもらううちが華」とサラり。その受け答えから伝わってくる“腹の座り方”“芸への執念”はさすがです。会見に同席した松竹の迫本淳一社長が「女形の玉三郎さんに対して言うのもなんですが、快諾いただいたときは“おとこ気”を感じた」と話していましたが、それも納得できます。

「あわてて東京に連絡して(阿古屋で使う)楽器のツメを送ってもらった」「心配していたけれど、少し触れば思い出してきて大丈夫」「本来なら1月はゆっくりお芝居や映画を観て過ごそうと思っていた」「役者は舞台でお客様に喜んでいただくのが最高の幸せ」と、質問者の私の目を見て、にこやかな表情で、ていねいに答えてくれる玉三郎さんに、私までうっとり。世の奥様方が熱狂するわけが、十二分に理解できました。「たおやか」とは、漢字では「嫋やか」。女へんに弱いと書きますが、弱いだけではなく、一本芯が通った強さと懐の広さがあってこそ、美しい「たおやかさ」になるんだと感じます。海老蔵さんには、もしかするとそこが欠けていたのかもしれません。でも彼自身が、玉三郎さんに穴埋めをお願いすることの重みを一番感じているはずです。「歌舞伎界を担う後輩として一生懸命やっていただきたい」という玉三郎さんに対して、海老蔵さんは舞台で答えてほしいと思います。

ル テアトル銀座の『坂東玉三郎 特別公演』は中村獅童さんとの共演で、来年1月2日(日)から20日(木)まで行われます。ほとんどが昼の公演(14時~)だけなので(9日、14日のみ18時30分~、11日は休演)、予定を立てにくいのが残念ですが、これはファン必見の舞台。一般発売は12月16日午前10時開始。またもや熾烈なチケット争奪戦になりそうです。

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