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藤村幸司
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舞台は楽し~二月花形歌舞伎GOEMON
2013-02-24 Sun 00:21
goemon.jpg

大阪松竹座で上演中の『二月花形歌舞伎』夜の部は『GOEMON』。初演は2年前の徳島・システィーナ・ホールですが、今回かなりバージョンアップしての再演となりました。大泥棒・石川五右衛門が実はスペイン人のハーフで、恋人は歌舞伎の始祖・出雲の阿国だったという、なんともぶっ飛んだお話。ところがそんな奇想天外な設定すら違和感がなくなるくらいに、ハチャメチャで楽しい見せ場の連続です。ありとあらゆる楽しい要素を詰め込んで、歌舞伎だとか新劇だとか、ミュージカルとかイリュージョンとか、分類するのはナンセンスとまで感じさせます。そして「ここまでやるか」と唸らせます。

GOEMONN役は歌舞伎の本興行としては初めての座頭となる片岡愛之助さん。楽屋でお会いするなり「無茶苦茶でしょ。でも藤村さん、こんなん好きでしょ?」とニッコリ。おっしゃる通り、歌あり踊りあり、舞台と客席一体となるこんな舞台が大好きです。やはり伝統の歌舞伎界からは賛否あったようですが「新しいこと、楽しいことを一生懸命、先頭切ってやってきた勘三郎のお兄さんの思いを受け継ぎたい」という決意を聞きました。「歌舞伎は様々な挑戦をしてきて今がある。このGOEMONも100年後には古典になっているはず」とも。

これまでの歌舞伎の常識を打ち破る仕掛けのオンパレード。劇場に入ると定式幕も緞帳もなく、舞台には十字架をイメージしたメタリックな枠組みがポツンポツンとあって、上からは横文字でGOEMONの電飾。ヘビメタのライブが始まるかのような雰囲気です。ところが、このシンプルな舞台が、盆(回り舞台)や大小のセリ、独特の照明などが駆使されると、見事なまでの効果を生み出します。おなじみの「絶景かな絶景かな」のシーンは衝撃的です。

音楽も和洋折衷で、いつもの邦楽に弦楽器や打楽器も取り入れられ、中でも三味線・長唄とフラメンコギター・カンテ(歌)の競演は鳥肌モノでした。さらに愛之助さんたちがフラメンコダンスを踊ったり、歌舞伎では考えれない大勢の女性たちによる踊りがあったり(実は元OSK=大阪松竹歌劇団の皆さんで切れのいい踊りに見とれました)、愛之助さんは2回も宙乗りし(操縦はご自身の手元にボタンがあって、上がったり下がったり、回転したりしてるんだとか)、金色の紙吹雪が噴き出したり、愛之助GOEMONが、はしごで2階席に上がってきたり、客席中で大立ち回りしたり、もう上げればきりがない常識の打ち破りよう。

と、こう書けばドタバタで無茶苦茶やっているようですが、実は伝統の歌舞伎、伝統の五右衛門(楼門五三桐)の基本的な要素はしっかりしていて、新しい歌舞伎ファンが観れば文句なく楽しめますが、古いファンたちにとっても納得でき、目からウロコだと思います。

出雲の阿国を演じる中村壱太郎さんは見るたびに色っぽさとかわいらしさが増している役者さん。今回は元OSKのダンサーたちとの踊りのシーンは時間的には長いのですが、まったく飽きさせず大きな見せ場となっています。GOEMONNの父、カルデロン神父は尾上松也さん、もとからイケメンですが、スペイン人に見えてしまうからすごい!悪役の豊臣秀吉は中村翫雀さん。この人がやると悪人も愛嬌あって憎めないキャラクターになります。そして、とにかく愛之助さんが文字通り大暴れの舞台、ラブリンの魅力満載です。いよいよ今月26日まで。

数々の舞台を観ていて少々のことでは驚かない私ですが、気がついたら客席で「おぉー」とか「うぁー」とか声を上げていました。ほんと、おすすめです。
公式HP『アナウンサー藤村幸司ドットコム』
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