藤村幸司
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大人のミュージカル『ノートルダムの鐘』開幕
2016-12-13 Tue 16:33
ノートルダムの鐘
劇団四季の新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』が、四季劇場・秋で開幕しました。再開発で劇場が一時閉鎖されために、来年6月までの期間限定プレミアム公演。チケット争奪戦はいつもにも増して厳しいのですが、そんな苦労をしてでも、ぜひ観ていただきたい舞台です。原作は『レ・ミゼラブル』で知られる文豪ヴィクトル・ユゴーの『ノートルダム・ド・パリ』。ディズニーが1996年に制作したアニメ映画で知られる名曲も登場するものの、テイストは大きく変えられ、原作により近い重厚で深い演出。2014年にアメリカで初演され、待ちに待った日本版の上演です。

物語の舞台は15世紀末のパリ。ノートルダム大聖堂の鐘突き堂に閉じ込められ自由を夢見るカジモドと、大聖堂大助祭フロロー、警備隊長フィーバス、その3人が愛してしまうジプシーの娘エスメラルダとの四角関係による愛憎物語です。これまでのディズニーミュージカルと違って、大きなセット転換もなく、被り物や特殊メイクもありません。全体的に暗くて重い印象ですが、それだけに登場人物の心情の奥深くまで感じ取れる大人向けの作品です。いたるとことに、いかにもな演劇的演出が散りばめられていて、シンプルながら深読みの楽しみもあるので、舞台好きなら何度も観てみたくなるはずです。

作品を効果的に輝かせているのは、クワイヤ(聖歌隊)の存在。時には悲しく、時には力強く歌い上げ、民衆の狂言回し的な役割も果たしています。衣装の着脱を見せながらキャラクターを変えていくアンサンブルたちもそう。ついつい舞台を観に行くとプリンシパル(メインキャスト)に目が行きがちですが、この作品は、アンサンブルやクワイヤの重要性をより感じさせます。そんなキャストの中に、身に覚えのある方々を発見。『レ・ミゼラブル』など、様々な舞台でキャリア十分の高舛裕一さん安部三博さん。今回が四季の初舞台だそうですが、さすが存在感があって、舞台がきりっとしまります。(レミゼにもいてほしいのですが・・・)

ヴィクトル・ユゴーは、『レ・ミゼラブル』でもいえるのですが、登場人物に美と醜、愛と欲、善と悪など相反する特徴を与えて、複雑で人間的なキャラクターを生み出しました。それが見方によっては表と裏が逆転して見えたり、どちらが正義なのか迷わせたりしながら、物語の深みへと導いていきます。そして最後には、観客にその回答を突き付けてくるような気がします。歌って、踊って、恋をして!というミュージカルではない、骨太ミュージカルもたまにはいいんではないでしょうか。

ちなみに、ディズニーと劇団四季のコラボは今作で6回目です。良質な海外作品を忠実にかつ日本人にも伝わるように咀嚼する四季の底力には敬服するばかりですが、一方で数々のオリジナルミュージカルやストレートプレイも大事にしてほしいというのは私だけでなく、多くの四季ファンの願いです。四季=ディズニー劇団と言われないためにもお願いします。

『ノートルダムの鐘』は、東京公演が開幕前に9割売り切れるという人気のため、いったん来年7月から京都に移した後、再来年2018年4月に神奈川で開幕が決定しました。ずいぶん先の話ですが、それほど今、注目されている作品です。西日本のみなさんは、京都公演に期待しましょう。

早くも、劇団四季版CD発売決定


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